それは2010年2月のことでした。当社の主要ビジネスのひとつである薪ストーブ用として、新たな専用ラグを探していたときです。
薪ストーブユーザーは、その周りをより暖かく、より心地よい空間にするため、ストーブの前に雰囲気の良いラグを敷くことを好みます。それは、以前から取り扱っていた、ベーシックデザインのラグが良く売れていたことからも分かっていました。
しかし、それまで取り扱っていたラグは、羊毛製でヨーロッパの伝統的な柄が採り入れられた、少し古めかしさを感じるものでした。
それまでは、そのようなデザインのラグで良かったのですが、薪ストーブが日本でもブームとなり、 様々な趣味嗜好の方が薪ストーブを使うようになったため、デザインの選択肢の広さが求められる状況となっていました。
そのため、アメリカやヨーロッパの薪ストーブ関連の展示会や、世界中の薪ストーブ関連業者のウェブサイトを検索するなどして新たな製品を探したのですが、いくら探してもベーシックデザインのものしか見つかりませんでした。
そこで、薪ストーブ業界からラグ・カーペット業界に目を移し、さらに幅を広げて探し始めたのです。すると、アメリカの家具や雑貨のネット販売のウェブサイトに、頻繁に目にするデザインが現れ始めました。それは、幾何学模様のネイティブアメリカンの図柄や、ダイナミックに描かれた野生動物をモチーフにした斬新で印象的なラグの数々でした。それらのほとんどがユナイテッド・ウィーバーズ・オブ・アメリカの製品だったのです。
それが判明したときは、胸の高まりが抑えきれないほどに興奮しました。このような素晴らしいラグの数々を他者に取られたら一生後悔すると思い、すぐに同社にコンタクトすることにしました。
しかし、遠い日本からの電話やメールでの連絡ではその場で断られてしまう可能性が高いと思い、すぐにアメリカ行きのチケットを買い、その翌週には現地の同社を訪れたのでした。
その地は、ジョージア州のダルトンという小さな町でしたが、目を疑うほどの巨大なラグ・カーペットの工場や倉庫が立ち並んでいたのです。それもそのはず、 ダルトンは、「世界のカーペットの首都」とも呼ばれ、150社以上ものメーカーがひしめき合う一大集積地だったのです。
その中にあっても、同社のデザインは際立っていました。そのため、それだけのメーカーがあっても目移りすることはなく、同社のドアを叩いたのでした。
ちょうどその日は出張帰りの社長と営業部長が居て、遠く離れた日本からの突然の来訪者を温かく迎え入れてくれました。そこに行きついた経緯を話すと2人とも大変喜び、すぐにビジネスの開始となりました。 同社としても、ちょうどアジアへの販売を計画していたところで、それが思わぬ形で実現したことを感慨深く感じていました。
その後も毎年、同社を訪れていますが、お互い初めて会ったときと変わらぬ想いを持ち続け、感謝の念をもってビジネスに取り組んでいます。
ダルトン地区としてはこれでも |
倉庫に隣接する広大なショールーム |
大型のハンガーラックには様々なデザインのラグが |
自らがデザインしたラグを紹介するDiane 営業部長 |
一番のお気に入りデザインの前でSamir社長 |